やみよのつぶて

セルフハグ的文章を書きます。

スープを飲みたいと思えるとき

しごとの頭は箇条書きで

のびのびと言葉を選んでいるときとは

頭の、ぐるぐると盛んに動く部分が異なるように思う

 

しごとの中でも、

話の本題ではなく、その周辺の

相手のことを慮ったり

ちょっと温度のある言葉をメールに織り交ぜたりするときにつかうところは

のびのびした言葉を選ぶときと

近い場所にあると思うのだけれど、

 

なんだか、優先順位が違う気がする。

 

わかりやすく、齟齬の無いように

それでいてやわらかく

が、しごと。

 

のびのびした言葉を選ぶときは

もっと遠くへいけたり

あざやかだったり、

もっとほがらかであったりする

 

たくさんの情報や

温度や

においを持たせたくなる

 

仕事終わり、疲れ果てていると

なかなかあざやかなことばも、ほがらかなことばもでてこない

12時間の労働は、金銭の対価であるからこそ

なかなかの緊張感で、心身に堪える

 

帰り道、

電車のなかでは

立っているときなんかもってのほかで

自分の重さに足を耐えさせるだけで精一杯

 

座席に座れたって、頭の多くの部分が

背中に伝わるクッションの硬さに持っていかれて

のこりの部分だって眠気を噛み締めている

 

ただ、できる限り

のびのびしたことばに手を伸ばせる状態でありたいと思う

 

座席の端で、手すりにかけられた透明な雨傘が

忘れられそうなリズムで、酔っ払いの足元を揺らすとき

 

私の鼻腔を、甘い香りが掠めた

 

ねりけしの

いちご味の匂い

 

なんだか途端に、焦点のあわなかった両目が、近くのモノを捉えられるようになる

鮮やかな赤いセーター

青いスマホケース

川辺の車窓

ああ、ぼーっとしてしまっていた、と気づくとともに

たのしいきもちになってくる

 

まるっきり同じ車内の

情報が増える

 

ねりけしの

いちご味の匂い

 

誰かの手の中にあったのだろうか

 

あたたかいものがたべたくなってきた